落胆

いえーい(はじめの言葉)
ここは、俺が独り言を書き連ねていき、自己満足に浸るためのページだ。
俺は誰かに何かの嘘をついている。もしかしたら、自分にも・・・。
だからここには真実だけを書こうと思う。俺の生きた証として。
だから、批判や要望は一切受け付けない。励ましのメール等も要らない。
俺は書きたいから書いているだけだし、書きたくなくなったら書くのを止めるだけだ。読んでいる奴のことなど知ったことか。
それでもよければ、一個の人間がどんな風に生き、どんな風に感じているのかを笑い飛ばして欲しい。

 

 


6/7

夢の中で音楽が流れていた。僕の好きな曲だった。とても心地よかった。つい口ずさんでいた。
目覚めるとKが隣にいた。
「どうして、あんなにいいものをつくる能力があるんだろう。俺には何もない。羨ましいよ」
実際、僕には何もなかった。人の心を感動させたり、影響を与えるようなものをつくる能力がない。
強いて言えば、今みた夢は自分の創造物なのだが、これは人に見せられるものではない。

音は俺の中の何かを呼び覚ます。俺は今のところそれが生きる意味と捉え、いい音楽がないか絶えず探している。
生きる意味をずっと探している。

俺はいつもの如くオナニーをし(5回くらい)、翌日Kと会った。その夜したのは1回だけだった。次の日Kが仕事だったし、夜中まで起きていられなかったから。普段なら何回でもやってやれない事もないが、さすがの俺も昨日のオナニーで精力が全快ではなかったから丁度よかったのかもしれない。が、Kの締め付けの方が俺のモノの固さを上回っており、少々戸惑った。

バイトをしていた為に日記を書くのが遅くなってしまったけど、今日から6月の日記を書こうと思う。
バイト先に女が数人いた。まあ当たり前だが。
様々な容姿の女がいる。ギャルみたいのもいれば、清楚な感じのやつ、仕事をこなせそうなやつ、要領がいいやつ、いろいろだ。
それを踏まえた上で、俺はKのことを見直しはじめていた。
Kはかわいい。Kはかわいいと、俺の脳は再認識をはじめたのだ。かわいいし、性格もまあまあいい。喧嘩をする時もあるけれど、2年以上の歳月を積み重ねて来れたのが、何より気が合っている証拠だ。
不満がないわけじゃない。100%満足なんて、おそらくありえないのだろう。それは理想というやつなのだ。理想を追いかけるのが人間の性(さが)というやつで、それは手に入れるものじゃない。
俺はこれからもKとやっていく。それだけのことだ。

2ショットチャットにも挑戦した。ナンパもしようとした。テレクラや出会い系にもチャレンジしようとした。
でも無理だった。言葉で通じ合っても、現実に会えばそれが崩れてしまう。
いくら口説いても会おうとしない奴は、それをはじめからわかっていたのだ。自分の想像だけに留めておくのが、一番の方法だってことを。
現実の恋愛でもそうだ。「このまま」に留めておいた方が幸せなこともある。

だけど、俺はいつからこんなに無気力になってしまったんだろう。
すべてわかりきったことさと悟ったように目を閉じ、何かをしようともしない。
興味のあることなんて何もないし、すべてがどうでもいいことのように思える。
周りが滅んだって、それはそれでいいと思っている。俺がどうかしてるのか、世の中がどうかしてるのか。

でもすべてから開放されているわけじゃない。俺は働かなきゃ生きていけないのだし、そして、俺は働くのがとてつもなくイヤだ。
働くのが好きという奴もいるかもしれないが、大抵の奴は働くのがイヤなんじゃないのか。
そうなのだ、俺は縛られているのだ。まだこの現実に。


6/18

久しぶりの日記。ところが僕はただ今無気力。いつだって無気力。
雨が降っている。外には出られない。

雨が降っていなくて空が晴れていたなら、嬉しい気持ちで一歩踏み出し、外へ出られたのに。
世の中がこんなじゃなかったら、もっと俺は変われたのに。

いや、よそう。キリがない。「もし〜としたら」なんて言ったって、ここにある暗い現実は変わりはしないのだ。

ある奴がこう言うのを聞いた。
「死ぬってどんな感じなんだ?」
どうせいつかは死ぬんだ。分かってる。いや、決してリアルには感じれない。
俺は生まれてからずっと一人称で生きてきた。自分だけの視点からものを見、判断してきた。他人の立場や気持ちなんて所詮分かりっこないのだ。
他人の死、それが意味するものがどの程度深いものなのか。わからない。

死ぬってどんな感じなんだ?
そもそも自分とはなんだ?
宇宙という空間が存在していること。一方向の時間の流れが存在していること。そして、俺という一人称が存在していること。
何がどうなってるんだ?

地元のスーパーで買った3ダースセットのコンドームを先日使い切ってしまった。
俺は急遽コンビニで6個入りのものを購入した。
日に日にKの感度が良くなってきている。その分、俺のものを締め付けてくるのであって、それゆえ俺はセックスのたびKが達する前に達しそうになるという不測の事態に備えるべく、心の準備をしておかなくてはならない。
フェラも随分と上手くなった。

虚しい。目をやる先の方にゴールが見えて、そこに向かって歩いていった。ゴールに辿り着くことこそが生への原動力となっていた。
だが、そこへ辿り着いてしまった時には、秘密を知ってしまったがための落胆しか残らない。
その様子を一部始終傍観していた友人は言う。
「もう死んでもいいんじゃないか?」
生きる意味はどこにあるのか。家庭を持つことやマイホームを手に入れるのが生きる目的ではない。生きる目的は、快楽の追求にあると俺は思っている。快楽は一体どこにあるのか。

雨が降っている。雨が降り止みもせずにずっと降っている。雨が俺を憂鬱にさせる。
雨の日にも楽しいことはあるなんて嘘に思える。雨の日には何もない。街も人通りは少ない。俺に出来るのは、息を潜めて時の流れを待つことだけ。


6/19

誰が面白いこと書くと言った?
誰も言ってない。
ある日記に、面白いことを書こうとすると疲れるから、自分のペースで書くのが長続きするコツだ、というようなことが書かれていて、妙に納得した。
生きることに関してもそれは言える。変に背伸びをしたり自分に無理強いをすると、神経をすり減らす結果に終わってしまう。そうすると人生は長続きしないのだろう。だからとりあえず誰かとセックスしたい。

友人のM君はとあるイメクラに行ったそうだ。受け付けを済ませ扉を開けると、そこには動かない電車があったそうだ。そこには一人の女性がそ知らぬふりで吊革につかまっていたそうだ。風俗経験のないM君はおそるおそる、
「あの、もうはじまってるんですか?」
と尋ねた。するとそこで吊革につかまっていた女性は、
「はい。もうはじまっています。どうぞご自由になさってください」
と答えたそうだ。これは痴漢プレイというやつで、他にも企業内のセクハラや学校体育館倉庫におけるシチュエーションでプレイするといったパターンも用意されている。こういう話は人の体験を聞いているだけで面白い。M君はほかにも、
「キスはどこまでOKですか?」と尋ね、
「深いのでなければ大丈夫です」との回答を得ると、何度も何度も軽いキスを重ねたという。

新宿である人と待ち合わせをしていた。俺はその人の顔も名前も知らない。向こうも俺の顔を知らない。お互い知っているのは、待ち合わせ場所のみ。といっても、新宿は人で溢れている。俺はどこに彼がいるのか迷っていた。階段に座っている彼なのか、柱に立っている彼なのか、それとも壁によりかかっている彼なのか。

その時男が俺に話し掛けるそぶりを見せた。俺は「はい何でしょう?」と言ったら、男は、
「手相の勉強をしているのですが…」と言った。
「死にやがれ」
思わずそんな言葉が口をついて出てしまった。男はまるで異常者を見たかのような目で俺を見て、通り過ぎていった。
あの時、異常なのはどっちの方だったのだろうと今になって考えている。

最近無性にデジカメが欲しくて、デジカメというのは様々な風景を撮れるし、デートや飲み会のお供にもなるだろうし、自分だけのための買い物でない所がいいと思う。でもいくら高性能なカメラを持っても、心の風景だけは写すことが出来ないのだが、とはいってもカメラが欲しい。

誰でもいいからセックスがしたいと思うのは、罪なんだろうか?


6/22

今日も16時過ぎに起きてしまった。眠い。10時間以上寝ているはずなのに、なお眠い。寝過ぎで眠くなってるという話もあるが。

電車に乗っていた。途中横の方で携帯のメロディ音が大音量で聞こえてきた。最近は携帯の進化もあって携帯の着メロも格調高い音になりつつあるが、そんな最新の機種を人が持っているとは限らない。そいつの着メロはうるさくて俺の気に障った。

うるせーな、ばか女が。
そう感じた。

次の駅でもう一人女の子が乗車してきた。俺のちょうど正面の席に座った。彼女がなんともかわいかったので、あまり直視できなかった。今日は土曜日だしなー、彼氏とデートなんだろうか、などと一人密かに想像を膨らませていた。
横の方に目をやると、さっきの女がパンを食っていた。
おいおい今度はパンかよ。まったくむかつくぜ。それよりあの顔なんなんだよ、ひでえな。顔がひでえから食い方とか態度もひどくなるのか? 食い方や態度がひでえから顔までひどくなるのか? 一体どっちなんだよ、答えろよブスが。
横の女には申し訳ないけれども、正直そう感じてしまった。かわいい娘をみたあとで見たものだから、余計にひどく見えてしまったのかもしれない。

正面に座っている女の子とあわよくば関係を持ちたいと思っている俺と、横の女をどうしようもなく不細工でうぜえやつだと感じている俺。どちらも本心だが、正面に座っている彼女と例えば職場が一緒だったとしても、臆して声などかけられないのは確かだし、例えば横の女と俺が友達だったとしたら、普通に会話をするのだろう。そして、車内の携帯電話もだらしのない飲食も許すのだろう。実際、そういう友達はいるのだから。
これが現実だ。
友達に対して、お前ブスだとは言えない。そもそも言うことすら頭に浮かんで来ない。
友達という関係は、相手がブスであるという事実よりも優先される。
人と人は生きていく中でどうしようもない事で衝突したりいさかいを起こしたりするけれど、もし友達同士なら仲直りして許し合えるのかもしれない。
ただ、一人でいる時は通常周りの人間はすべて、友達でもない親類でもない、ただの他人に過ぎない。そこに勝手な想像や妄想が介入する。憧れを抱く場合もあるし、蔑むこともある。一目見ただけで恋をすることもあるし、逆に差別することもある。

友達の話を聞いていると、どうも俺は性欲の強い人間ではないかと思い始めてきた。だいたい一日に3回以上オナニーしてるやつは少ないし、驚いたことに女性を前にしてもなかなか勃たないやつもいるということだ。正直な話、俺が一日で考えるほとんどのことは女性とのセックス願望に関することだし、それに縛られている自分が嫌になるほどなのだ。

今日久しぶりに友達同士で飲んできた。友達はやっぱりいいもんだと思う。社会や他人というものはあまりにも冷たい。それに比べたら、友達がどんなに大切かを思い知らされる。
いつから池袋西口はストリートミュージシャンで溢れるようになったのだろう。ゆずが多い。その中でなぜかELTを歌ってる子がいた。なんと言ったらいいのかわからないが、演奏してる沢山の連中よりも歩いてるこっちが恥ずかしい。

この前日記にデジカメが欲しいと書いたが、結局今日普通のカメラを購入することになった。
確かにデジカメは便利な道具だとは思うが、どうも実際の写真を味気なく感じてしまうので、普通のカメラが欲しくなったのだ。カメラで撮った写真の方がやはり綺麗で味があって、それに比べるとデジカメなんておもちゃに過ぎないと思った。
もちろん綺麗に写るデジカメもあるのだろう。しかし、よく写るデジカメはまだあまりに高価だ。

当初はデジカメが欲しいと思っていた俺だが、欲求は思わぬ方向に転換していき、一眼レフを買おうと考えるようになった。
値段は少々張るが、一眼レフの写りはいいし、入門機に最適とされるミノルタのSweetIIを買おうと思った。だが一眼レフには個人的な欠点が一つあった。
それは、写真機自体が醸し出す重みにある。
例えば一眼レフを街でかまえたとしよう。すると道行く人はどう感じるだろう。カメラがカメラなだけに、「俺は写真が趣味なんだぜ」と気取った所がありはしないだろうか。うん、もちろん俺の被害妄想はある。が、妄想癖の激しい俺だからこそ、一眼レフを抱えて街を歩くのは自分にとって少々荷が重い。しかも、最近は芸能人もよく趣味で一眼レフで写真を撮っていると広言しているらしく、そのせいか若い女の子が街で一眼レフを構えているのをやたら目にするようになった。俺がそいつらと同格に見られるのも非常に癪に障る。
気軽にポケットから取り出せて、気軽に撮影でき、よく写るカメラが欲しかった。

ネットでの検索を続けていると、コンパクトなカメラでもリコーのR1Sの評価が高いことが分かった。そして更に、R1Sの後継機であるR10もさほど悪くないカメラであると分かった。しかも値段が安い(9800円)。

今日、新宿のヨドバシカメラでR10を買ってしまった。明日、晴れていれば外に出て撮ってみようかと思う。なぜだろう、日頃憂鬱な俺が、まだ買ったばかりのR10を眺めながら、とてもうきうきした気分になっている。言葉を書くという行為と、写真を撮るという行為。どこか似ている感じがする。


6/28

今月もあとニ日で終わりだ。
何をやっても中途半端だ。他人と比べ秀でているものなんて何もない。とびきりダメでもないけど良くもない。偏差値でいうと50くらいの。でも生きていく上ではそれが一番残酷だ。

最近気分がすぐれない。世の中のことが受け入れられず、生きていくことは醜態を晒していくことに思えてきて、死ねたらいいと思えてきた。

この前買ったカメラを手に僕の生まれた街を訪れた。十年も経てば変わった所も幾つかある。家の近くにある商店街を歩いていた時、ふと気づいた。
これは、何度も目にした光景だ。
そう、遠い昔のことじゃなく、この前も、つい最近も。毎回若干の変化を伴いつつ、夢に出てくる光景だった。
僕は夢の中で生まれた街を彷徨い歩いていたのだ。
そしてこの現実においても。
現実?
その時気づくことができた。現実は夢の一部に過ぎないんだってことを。

唯一の相違は、現実の身体が死ねば夢の世界も同時に消えてしまうという点にある。
実際に死んだ訳じゃないから、断言はできないけれども。

つらくてつらくて、気が変になってしまいそうだ。
何もしないから気分が落ちるのか、気分が落ちてるから何もできないのか。
とにかく、何に対しても興味なんかない。

ささいなことなのかもしれないけど、カウンターで待ってるのに店員同士が談笑していて自分が待たされたり、電車の中でおばさんの鞄が自分に当たったり、本を買いたいだけなのに店員に高圧的な対応を取られたり。更には今まで生き残ってきた周囲の人々全てが高慢でずる賢くみえてくる。
大多数の人にとっては、小さな小さなことかもしれない。でも僕にはとても我慢ができない。
殴られたみたいに心が傷ついてしまう。
音楽を聴いた時、なぜか涙が溢れてくる。心から血が滲み出るように。

生き続けるのなら、こう考えることが必要だろう。
無理は禁物。
僕はそう、例えば病気にかかっていて、今それを治療している状態だと思えばいい。だから、体や精神に負担をかけてはいけない。無理そうなことはしてはいけない。

だが、世間はそれを許してはくれないのだ。


6/29

暇である。やらなければならないことは沢山あるはずなのに、何もする気が起きない。
どうせ何をしても無駄さ。俺のすることなんて、たかが知れているのだから。
そう心の中で呟いている最低な自分がいる。

朝起床して、何をする訳でもなく部屋の中を歩き回る。PCを起動してインターネットをする。疲れるとベッドの上でごろ寝して先日撮った写真でも眺める。腹が減ったらカップラーメンを食べる。これがまたちっともおいしくない。
昨日は学校に行けたからまだ良かった。確か帰り道にすごく喉が渇いて、コンビニでオレンジジュースを買ったのだ。で、飲んでみたらすごく美味かった。それは101回目のオナニーに遥かに勝る快感で、涼風が体中を駆けめぐっていった。
そういうわけで、一日中家に閉じこもっていたってちっとも面白くない。かといって、外に出る理由もないので結局一歩も外に出ずだ。

暇だからこの前Kと会った日のことでも書こうと思う。
雨ばかり続いていて、俺の気分は救いがたい程に憂鬱だった。そんな時は一人でいることを望むから、あまりKと会いたくなくなってしまう。それが原因でよくけんかになる。
会いたい気持ちや好きな気持ちがない訳じゃない。だけど、気分が憂鬱なんだ。何もしたくないんだ。
そのことをいくら伝えてもKは分かってくれた例がない。まあそれはいいとして、もっと深刻なのは現在置かれているKの状況である。

類は友を呼ぶという言葉があるが、恋愛においても両者には幾らかの相関関係の存在を認めなければならない。
年が40年も50年も離れているカップルはそうはいないし、人間は自分と似た境遇の人に対して感情を抱きやすい。
Kと気が合うことは他に何にも変えられない俺の喜びだが、問題もある。
Kはおそらく、対人恐怖の気配がある。何年か付き合っていくうちに、Kは対人恐怖症によくみられる性質を持っていることが分かってきた。
そして社会人としての道を歩み始めた最近は特に、症状が顕著に現れるようになった。
自分の顔がこわばってしまって、人と上手く話をすることが出来ない。毎日が苦痛で何もかも捨てて一からやり直したい。夢に出てくるのは職場のことだけ(実際Kは夜中に俺の横でうわ言のように職場の専門用語を発している)。
電話の内容も去年とは随分変わってしまった。悲痛な叫びのような、職場であった耐え切れない出来事、悩みの数々。それを聞いて俺は言葉を失ってしまう。
わかってる、Kは俺にやさしくして欲しいってことくらい。でも、Kの痛みが今度は俺をブルーにさせてしまうので、何も言ってやることができない。
この先には絶望しかないのに、がんばれなんて言えない。Kの心はいつも満たされない。
こうして二人の関係はギクシャクしたものになっていった。電話をすると決まってけんかをしてしまうため、今じゃおそるおそるメールで出会って間もない友達同士のようなコミュニケーションを交わしている。

この前会った時も雨が降っていた。せっかくKをモデルに風景写真を撮りたかったのに、これではその願いは叶いそうになかった。
はじめは浅草にでも行こうという話だったが、ちょっとしたアクシデントがあったために、急遽海浜幕張に行くことになった。ここへは何度か行ったことがあるのだが、同じ所にまたKを連れていった。普段は俺が色んな場所に連れて行ってもあまり感動してくれないKだが、今回はこの街が気に入ったようだった。
「この街に住めたらいいな」
と言っていた。Kはここに自分の必要な店が全て揃っていると感じてくれたようだった。

家に帰って夕ご飯を食べ、Kが風呂から出た後は、いつも足をマッサージしてあげている。するとKは、「私は幸せものだ」と満足げに微笑む。
Kの足の指は皮が剥けていて痛々しかった。きっと靴がいけないのだろう。なぜもっと足にフィットする靴を買わないのかと尋ねても、靴を買うお金がないのだと言う。教科書を購入しない学生の下手な言い訳みたいだ。
しかも安月給のくせに化粧品だけはせっせと買い揃える。俺が化粧なんてしなくてもいいと言っても聞く耳を持たない様子。この前も通販か何かの化粧品が宅急便で送られてきて、嬉しそうにその包みを開けるKをよそに、俺は同封されていた振込用紙を見たが、びっくりするほど高額で背筋が寒くなってしまった。女性は死ぬまで女性をやめないのだと思う。

夜はいつも同じ。たった一度きりのセックスの後、明るくなるまで語ることもできずに、また明日から仕事だと落ち込みながら死んだように眠りに落ちる。
夢なんてない。